スマートリングに新たな可能性:心電ハートリズム(ECG)

はじめに:ECGは「身につける」時代へ

心電(ECG:Electrocardiogram)測定といえば、これまで主流だったのは手持ちタブレット型スマートウォッチ型のデバイスでした。これらは一定の精度を確保できる一方で、「測りたいときにすぐ使えるか」という点では制約がありました。

そうした中、指輪サイズまでECGデバイスを小型化する試みは、これまでほとんど例がなく、技術的にも非常にチャレンジングな領域です。本記事では、指輪型ECGデバイスを実現する上での技術的ポイントと、その価値について解説します。


指輪型ECGが直面する3つの技術的課題

① 3点電極をリングサイズに収める設計

心電測定では、心臓の電気信号を捉えるために複数の電極が必要です。
従来機器では、電極を広い面積に配置できましたが、指輪型デバイスでは極めて限られたスペースしかありません。

  • 指に自然に触れる位置

  • 装着時に安定して皮膚と接触する構造

  • 日常動作でズレにくい配置

これらを同時に満たす電極設計が、最大のハードルの一つです。


② 微弱な心電信号を「きれいに」処理するノイズ除去

ECG信号は非常に微弱で、

  • 体動ノイズ

  • 筋電ノイズ

  • 機器そのものまたは外部ノイズ

の影響を受けやすいという特徴があります。

特に指輪型では、日常生活中の動きが多いため、信号処理アルゴリズムによるノイズ除去が不可欠です。
ハードウェア設計とソフトウェア処理を組み合わせ、心電リズムとして意味のあるデータだけを抽出する技術が求められます。


③ 取得した結果をどう活用するか

ECGを測れるだけでは価値になりません。重要なのは、取得した心電リズムをどう解釈し、どう使うかです。

指輪型デバイスでは、

  • 短時間での測定

  • 気分が優れないときの即時記録

  • 日常データの蓄積

といった特徴を活かし、心拍リズムの変化を可視化するツールとしての活用が重視されます。最近よくあるのはAIアルゴリズムを使って解析することです。


医療機器ではなく「ハートリズム記録」のためのECG

ここで重要なのは、指輪型ECGは医療目的の診断機器ではないという点です。
本デバイスは病気の診断を行うものではなく、日々のハートリズムを記録・把握するためのヘルスケア機能として位置づけられます。

そのため、

  • 医療行為を代替しない

  • ユーザー自身が体調変化に気づくための補助

という役割を担います。


従来型ECGデバイスとの決定的な違い

従来のECG機器は、「測定するために準備する」必要がありました。一方、指輪型デバイスは、

  • 常に身につけている

  • 気分が良くないと感じた瞬間に測れる

  • 測定の心理的ハードルが低い

という点が大きな差別化要素です。
この**“タイミングを逃さない”測定体験**こそが、指輪型ECGの最大の価値と言えるでしょう。


スマートリング市場とECGハートリズム機能の希少性

現在、市場には歩数・睡眠・心拍数など、一般的なヘルスケア機能を備えたスマートリングが数多く存在します。しかし、ECGによるハートリズム記録機能を指輪型で実現している製品は非常に希少です。

MedVigilanceは、FyRing2のようなECG対応スマートリングを通じて、心の状態や体調変化をタイムリーに可視化するツールとして、これまでにない価値を提供します。


おわりに:医療機器ではありません。

指輪型ECGデバイスは、医療機器ではありません。しかしその分、新しい使い方や価値が生まれる余地も大きいと言えます。

MedVigilanceは、ECGハートリズム機能を通じて、単なる健康データ取得にとどまらない「気づき」を提供し続けることを目指しています。
スマートリングは、これからのヘルスケアをより身近で、より自然なものへと進化させていくでしょう。